◆コラム 栃錦と白鵬が語った「緩み」
 若林哲治の土俵百景

2021年12月03日13時55分

間垣親方の解説デビュー

 40年前に相撲記者になったばかりの頃、力士はぶっきらぼうで、親方は稽古場で「前へ出ろ!」しか言わなかった。場所中の晝間、記者クラブへふらりとやって來て、記者と一緒にマラソン中継を見ながら「前へ出ろ!」と言っていた親方もいる。もちろん新弟子記者が「出てますよ」などとは言えない。

 だが、そのうち少しずつ話を聞ける親方ができたり、まだ幕下以下の力士が稽古している時間に部屋へ行ったりするようになって、実に細かく理詰めに技術を説く親方が多いことを知る。目からうろこが落ちる話を耳にすると、朝早くから來てよかったとか、次は何を教えてもらおうかと思ったものだ。だから、現役を引退した親方が、相撲中継の解説でよくしゃべるのを聞いても驚かない。

 九州場所8日目、元橫綱白鵬の間垣親方がNHKで解説デビューした。しゃべり過ぎず、低く耳に入りやすい聲で必要なことを的確に話し、聞きやすいと好評だったようだ。

 土俵上のほとんどの力士と対戦経験があり、戦った感觸を語れるのは引退後間もない親方に共通の強みだが、阿炎の出足を「まだまだと思っているうちに土俵際」と表現したあたりは、なるほどと思った。

 しばしば言及したのが、膝の使い方だった。琴ノ若には期待を語った後で「できれば膝をもう少し曲げたらいい」とアドバイスを送り、この日、霧馬山に突き落としで敗れた大栄翔については、つま先で前に出ながら膝が伸びたことを指摘した。

 そんな解説を聞いていて、「膝の緩み」という言葉を使った時は、おや、と思った。前に出るにせよ下がって殘るにせよ、膝が伸び切ると力が土俵に伝わらないので、少し曲がった狀態を保たなければいけない。「緩み」とはその曲がりを指すが、「ゆとり」や「余裕」と言った方が分かりやすく、「緩み」だと、膝を痛めて関節が緩んでいるかのような印象も受ける。

 これは、元橫綱栃錦の春日野親方が生前、よく使った言い回しだった。例えばライバルだった橫綱初代若乃花(のち二子山親方)の強さを語る時、「二子山君の強いところは、土俵際へ寄られた時でも膝の緩みがあるんだよ。だから俵に足が掛かっても殘れる。常に膝の緩みがあるんだよ」と。私は理事長時代に役員室で直接聞いたが、DVDなどに殘っている映像でも、同じように「緩み」という言葉で語るのを聞くことができる。

 白鵬の現役晩年の取り口や言動を見て、「昔のビデオを見ていったい何を勉強したのか」と怒る親方もいたが、研究熱心だったことはこんなところからも感じられた。10日目にはユーチューブの「親方ちゃんねる」にも登場した。

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